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# 36【情報・通信業】株式会社GameWith(6552)の人的資本開示|有価証券報告書(2026年5月期)

1. ひとこと総評

株式会社GameWithは、「ゲームをより楽しめる世界を創る」という理念のもと、メディア事業からeスポーツ、ISP事業、そしてNFT等の新規事業へと多角的な成長を遂げている企業です。経営戦略コンサルタントの視点から同社の人的資本開示を評価すると、事業の加速度的な成長を支えるための「環境整備」や「AI人材の育成」に対する投資姿勢が非常に明確である点を高く評価できます。一方で、「どのような人材を求め、どう評価するのか」という具体的な評価制度の中身に関する情報開示が不足しており、経営戦略と個人のキャリアステップを結びつけるストーリーに改善の余地があります。今後の持続的な企業価値向上のためには、評価の透明性を高めることが一つの「伸びしろ」になると分析します。

2. 人的資本開示 4つの評価ポイント概要

以下の4つの評価ポイントについて、当データ倉庫独自の視点で評価(◎, ◯, △, ×、※情報不足の場合は「-」)を行いました。

評価ポイント 評価 一言コメント
① 経営戦略との連動性 AI推進等の事業戦略と、全社的なAI研修といった人材育成方針が的確にリンクしている。
② 開示データの数値と変化 男性育休取得率100%、有給休暇取得率70.3%など、明確な目標数値と高い実績が開示されている。
③ 一貫したストーリー性 エンゲージメントサーベイを用いた課題把握から施策実行への流れが論理的に語られている。
④ 戦略、人事、従業員処遇体制の一貫性 等級制度の枠組みは記載されているが、評価基準の具体的な内容が開示されていない。

3. 評価ポイントの深掘り分析

各項目について、「評価できる良い点」と「今後の課題・改善点」の双方の視点を取り入れ詳細に分析します。

① 経営戦略との連動性

【評価できる良い点:AI推進戦略と連動した育成策の実行】
GameWithの開示において高く評価できるのは、経営環境の大きな変化である「AI技術の普及」に対して、事業戦略と人材育成がしっかりとリンクしている点です。同社は「各種AIの活用による業務効率化およびコスト圧縮」を中期的な成長戦略に掲げており、その実行部隊として2026年2月に「AI推進室」を立ち上げました。それに伴い、単にツールを導入するだけでなく、「全従業員を対象とした研修」を開催し、日常業務でAIを自在に活用できる人材の育成を進めていることは、経営と人事の連動性を示す優れた事例です。

【今後の課題・改善点:新規領域を牽引する人材の要件定義不足】
一方で、今後の課題(伸びしろ)として挙げられるのは、eスポーツ事業やISP事業、NFT等の「新規事業」を牽引するための具体的な人材像の開示が不足している点です。これらの新しい収益モデルを構築するためには、従来のメディア運営とは異なる専門知識や営業スキルを持つ人材が必要となるはずです。しかし、現状の開示では「積極的な採用活動」という表現に留まっており、どのような能力や資質を持つ人材を戦略的に獲得・育成していくのかという具体的な方針の明文化が待たれます。

② 開示データの数値と変化

【評価できる良い点:高い目標設定と実績を伴うダイバーシティ指標】
開示データにおいて特筆すべきは、「男性労働者の育児休業取得率」が目標の80%に対して実績100.0%を達成し、「年次有給休暇取得率」も目標66%に対し70.3%と高い水準をクリアしている点です。これは、同社が掲げる柔軟な働き方の導入が形骸化せずに社内風土として定着していることを証明する強力なデータです。

【今後の課題・改善点:人材投資の効果を測る独自KPIの欠如】
しかし、企業研究を行う若手人材の視点から見ると、「エンゲージメント(従業員の会社に対する貢献意欲)」や「各種研修」の成果を測る定量的な指標の開示が限定的です。エンゲージメントスコアの推移や、研修投資の対費用効果など、人的資本に対する投資が企業の生産性向上にどう寄与しているかを示す独自KPIが設定されれば、投資家や求職者へのアピール力はさらに高まるはずです。

③ 一貫したストーリー性

【評価できる良い点:課題把握から働き方改革への論理的な接続】
「なぜその人材投資を行うのか」というストーリーにおいて、同社はエンゲージメントサーベイを通じた定期的なコミュニケーションを起点とし、全社の課題を正確に把握する仕組みを構築しています。その結果をもとに、リモートワークとオフィス勤務を組み合わせたハイブリッド勤務を導入するなど、従業員のモチベーション向上とパフォーマンス最大化に向けた施策を論理的に展開している点は高く評価できます。

【今後の課題・改善点:次世代リーダー育成のストーリー不足】
改善点としては、「次世代のマネジメント層をどのように育成していくか」という中長期的なストーリーが見えにくいことが挙げられます。役職者への能力開発研修の存在は明記されているものの、それが具体的にどのような選抜プロセスを経て経営人材へとステップアップしていくのか、個人のキャリアビジョンを描けるような記述の充実が求められます。

④ 戦略、人事、従業員処遇体制の一貫性

【評価できる良い点:等級制度と迅速な評価反映の仕組み】
人事戦略と処遇の一貫性について、同社は等級ごとに求めるスキルや給与レンジを設定する等級制度を採用しています。特に評価できるのは、半期ごとの目標設定と評価を実施し、「業績貢献度の高い従業員に対して迅速に評価を報酬へ反映させている」点です。変化の激しいインターネット業界において、成果をスピーディに還元する仕組みは優秀な人材のモチベーション維持に不可欠です。

【今後の課題・改善点:評価基準のブラックボックス化】
コンサルタント視点での最大の課題は、定性的な評価項目が具体的にどのような行動指標(コンピテンシー)で測られているのかが開示されていない点です。実力主義を掲げる一方で評価の「中身」が外部から見えにくいため、就活生にとっては「どうすれば評価されるのか」というイメージが湧きにくい状態です。評価基準の透明性を高めることが、納得感のある処遇体制の構築に繋がります。

4. まとめ

株式会社GameWithはメディアという安定基盤を持ちながら、eスポーツやAI、NFT領域への挑戦を続ける非常に魅力的な企業です。男性の育休取得率100%に象徴されるような「働きやすさ」と、半期ごとの評価による「成果への迅速な還元」というメリハリの効いた環境で自身のキャリアを築くチャンスがあります。

一方で、選考の場や企業研究においては、新規事業を牽引するための人材要件や、等級制度における具体的な評価基準について、自ら積極的に質問を投げかけることが重要です。「どのような行動や成果が高く評価されるのか」「新規事業に関わるためのキャリアパスは存在するか」を直接確認し、企業と自身の価値観がマッチするかをしっかりと見極めてください。変化を恐れず新たな価値創造にコミットできる人材にとって、同社は飛躍のための素晴らしいステージとなるでしょう。